セミナービジネスの罠

数年前まで、ボクはセミナーに参加したことがなかった。

 

セミナーに参加することは、時間とお金の無駄だと思っていた。

子供の頃から読書が好きだったので、何か必要な知識を吸収しようと思ったら、興味のある分野の本を読めば済むと思っていた。

 

ところが本にCDが付いているものを買ってみたら、これが案外面白い。著名な著者の肉声を聞きながら本を読むと理解が深まるような気がした。そのうち、CDブックを買うようになり、ついにはセミナーの様子を収録したDVDを買って見るようになった。やっぱり、視覚からも情報が入るので、わかりやすいし、繰り返し見ることで著者本人と会ったような気持ちにもなれるし、何よりも内容を自分の中に落とし込みやすい。

 

そして、生の本人に会ってみたくなり、初めてセミナーに行ったのが今から3年ほど前のことだったと思う。内容は、スピリチュアル系のもので、セラピストなどで独立開業することを支援するようなものだった。申し込んだ時点でボクには関係ないようなものだと思ったけど、有名な本の著者に会ってみたかった。

 

スピリチュアル系を受講したのは一度だけで、その後しばらくはセミナーから遠ざかっていた。スピリチュアル系のセミナーは若い女性の参加者が多く、何となく男性が参加することに気後れを感じていたからである。

 

ところが、2年前に母が死んでから再びセミナーに参加するようになった。内容は心理学系のものを中心にしたが、寂しさを紛らわせたかったからセミナーに行ったというのが本当の参加理由なのだと思う。新しい刺激も欲しかった。

 

それから1年ほどの間に300万円以上のお金をセミナーに使い、自己投資した。安いフロントセミナーに参加すると高額なバックエンドセミナーを勧誘される仕組みになっていることに気付かず、手当たり次第に受講した。講師に誘導されるまま、いくつかの高額なセミナーも購入し、受講するようになった。

 

いつしかセミナーに参加すること自体が目的になってしまった。セミナー会社によっては、ジャンルの異なるセミナーをいくつか用意して、次から次へと受講させるようなものがあったり、年間パスポートを用意してリピーター客を確実に集めるようにしていたり。あるいは再受講という名の下に実質的にはスタッフの仕事をさせていたり。中には最初からフォローアップセミナーが付いているのだが、それは別料金だったり。本当に様々な仕掛けが用意されている。正にセミナービジネスの罠だ。

 

セミナーに参加すると得られるあの高揚感、幸福感は素晴らしい。最近のセミナーは受講生同士でシェアさせるシェアタイムを取り入れているところが多い。不思議なことにシェアをすると親近感や仲間意識が湧いてくるし、ワークをすれば達成感を味わえる。自分にも何かできるのではないかと思わせるものがある。でも、そんな高揚感も数日もすれば元に戻ってしまう。どうやらセミナーには、ある種の脳内モルヒネを分泌させる力があるようだ。これにハマると参加することが癖になってしまう。他の参加者を見ていると、それほど収入も高くないのに高額なセミナーを借金してまで購入してしまう人が結構いる。それが現実だ。

 

では、どうすればいいのだろう。

 

続きは、次のブログに書きたい。